2009/02/18 (Wed) 003:助 まったり鑑賞

投稿された沢山の作品の中で、特に好きな作品に勝手に感想を書いています。作者のみなさまへのご挨拶は、トラックバックという形で失礼します。

鑑賞というよりは、好きなものを自分の宝箱に入れていく感じです。順番は投稿されたのが早い順です。

愛を叫んだり、独断と偏見で想像したりしています。そんなつもりじゃないのに！という解釈も沢山あると思いますが、鑑賞しているのが偏ったヤツなので仕方ないなと許してやって下さい。


続きからどうぞ。


今現在138の投稿があるのですが、一気にそんなに沢山は見られないので、取り敢えず前の方の3分の1くらいから選びました。7首くらい選んだのですが、最近体力がなくて時間がかかりそうなので、とりあえず3首分だけ先に。

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助走だと思っているからだめなんだ突き抜けるほどのキスをしてやる（月下燕さん）

この歌自体から突き抜けるほどの勢いと、若さのいい部分を感じられて気持ちいい。「なんだ」「してやる」が若々しいし、何だか可愛い言葉遣いなのに、「思ってる」って略さないところが、誠実な性格を想像させます。個人的には16歳男子高校生（マックでバイト３ヵ月目）みたいなイメージ。
それまで意識的に助走だと思っていたのか、当然のことと無意識的に思っていたのか。何があって変わったのか。そしてこれからどうなるのか。主人公の性格から未来まで、沢山の物語を含んでいる素敵な歌。

題詠blogという場で、「お題を消化している短歌」という認識で読んでいても気づかないくらいお題を自然に取り込んで、なおかつ「助走」というキーポイントに配置しているテクニックには脱帽です。

他の子を乗せないでなんて言えなくて位置をなおして座る助手席（Re:さん）

恋と助手席はもはや定番の組み合わせ。それを、ありきたり感を感じさせず、なおかつ「あー何だか分かる！」と共感できる形にした素晴らしいバランス感覚。
「乗せないで」「なんて」「言えなくて」「なおして」とリズムよくトントンときて、「座る助手席」にストンと落ちるのがいいですね。意識が自然とそこに集中します。
個人的に「なおして」が平仮名なのが好きです。女性の無言のアピールの可愛らしさを引き立てているように思います。無言のアピールって、下手すると当てつけで嫌なヤツになっちゃいますから。音のトントンとした気持ちよさや「なんて」なんて可愛らしさも相まって、嫌なヤツなんて思わせないのでしょうね。

助けてと声にならない声　きみは青色になる異国のプール（イマイさん）

溺れてるの!?助けてあげて！
というのは置いておいてですね。
全体的に詩的な感じで、その締めが「異国のプール」って何だかいいなーと思うのです。「きみ」が平仮名なのが情緒があっていいですね。壁を青色に塗られたプールを、潜水でゆったり泳いでいくような不思議な感覚になれる歌です。